警察からの帰り道

警察からの帰り道を、私は絶望的な気分で歩きました

どこかで物事が上手く進む期待をしていた、そんな自分の甘さをかみしめつつ


被害者はおそらく私ひとり・・

被害金額も小さい・・・

そんなちっぽけな事件は、日本中にありふれすぎていて・・

「警察も忙しいんだよね」

細野刑事は、結局はこの言葉を言いたかったのでしょう


あーあ、これからどうしよっかな〜

もちろん、あきらめるという選択肢は私にはありません

歩道橋の上でスマホを取り出し、登録してある知り合いの名前をざっと見ていきます


【あ行】
相沢くん→実家の医院を継ぐため医学部入ったけど、おたく活動にのめりこみ留年をし、その後・・・

あゆみ→大手新聞社に入社し、上司と不倫したら相手の奥さんから慰謝料請求され・・・

栄治→任侠の世界に憧れ、小さな組の組長となるも、覚醒剤で・・・



・・【あ行】の知り合いも、なんだかんだ苦労をしています

辛抱強くみていくと、【な行】にいた【野間口くん】が目にとまりました


「野間口くん、君に決めた!!!」


野間口くんは大学時代の同級生で、社会人になってから細々と交流は続いていたものの、もう何年も連絡していません

野間口君は法学部で、司法試験のために頑張っていた!!

もしかしたら、運良く弁護士になっているかも!?

一縷の望みをかけて、野間口くんに電話してみました